職業訓練:シーケンス制御からPLC制御へ

職業訓練

職業訓練校「電気設備科」では、電気に関する基本技術を体系的に学びます。前回までは、実際のリレーや電磁接触器、サーマルリレーなどを使ったシーケンス制御の実習を行いました。

シーケンス制御では、スイッチやリレー、ランプなどの部品を実際にケーブルで配線し、電気回路を組み立てて動作を確認します。電流がどのように流れるか、接点の組み合わせでどのような動きを生み出すのかを、手で組んで体で覚えることが目的です。

しかし、今回からは内容が大きく変わりました。
次のステップはPLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)制御
これは、これまでのシーケンス制御をPC上のソフトウェアで再現・制御するというものです。
つまり、配線作業をしなくても、コンピュータ上でリレー回路と同じ動きを作り出すことができるのです。


PLC制御とは?

PLCとは、工場の生産ラインや自動機械などで使用される制御装置のことです。
これまで物理的に組んでいた電気回路を、プログラムで実現できるようにした装置で、近年ではほとんどの自動化設備に導入されています。

例えば、照明の点灯・消灯、モーターの回転、ベルトコンベアの停止や方向切り替えなども、PLCを使えば効率的に制御できます。
また、配線をやり直す必要がなく、ソフト上で条件を変えるだけで簡単に制御内容を変更できるのも魅力です。


実習のスタート:A接点・B接点から始める

いよいよPLC実習がスタートしました。
最初は、実際のデモ機を使ってPC上で電気回路を作成していきます。
画面上にはリレーやスイッチのようなシンボルがあり、それらをつなぎ合わせて回路を構築します。

まずは基本となる**A接点(通常開接点)B接点(通常閉接点)**の理解から始まりました。
ソフト上でA接点とB接点を配置し、スイッチを操作すると、ランプの点灯や消灯がシミュレーション上で確認できます。

最初の印象は「とても楽ちん!」というものでした。
物理的な配線作業がないため、作業は非常にスムーズ。
間違ってもすぐに修正でき、ケーブルを繋ぎ直す手間もありません。

そして、回路の中でそれぞれの命令がどんな働きをしているのかを理解していきます。
代表的な命令として、

  • LD(ロード):条件を読み込む
  • LDI(ロードインバース):反転条件を読み込む
  • OUT(出力):結果を出力する
  • AND(論理積):複数条件の同時成立
  • ANI(ANDインバース):否定条件の組み合わせ

といった命令を一つずつ覚えていきます。
これらを組み合わせることで、複雑な制御も実現できるようになります。


ベルトコンベア制御の実習へ

基礎が終わると、次の段階ではベルトコンベアの制御実習に進みます。
スイッチ操作でベルトを動かしたり停止させたり、特定条件で動作を変えるなど、より実践的な回路設計を学びます。

この段階で登場するのが、

  • 自己保持回路(一度押すと動作が続く回路)
  • インターロック回路(安全のため同時動作を防ぐ回路)
    といった要素です。

これらはシーケンス制御のときにも出てきた概念ですが、PLCではそれをプログラムとして組み込む必要があります。
つまり、「物理的にリレーをつなぐ」代わりに、「論理命令を並べて同じ動きを再現する」わけです。

基本を理解しているつもりでも、動作条件が少し複雑になると途端に混乱することもありました。
「どうして動かないのか」「どこで条件が食い違っているのか」など、エラーの原因を探す作業も勉強になります。
私は分からないときは、周りの訓練生や講師に相談しながら理解を深めました。


実習環境とサポート体制

実習時間はしっかりと確保されており、焦ることなく作業に取り組むことができます。
分からないことがあっても、周囲に相談できる環境が整っているのが職業訓練校の良いところです。

また、実習用PCやデモ機も整備されており、実際の現場に近い環境で学べるのも魅力です。
講師の方々も現場経験が豊富で、分かりやすく指導してくれます。
初心者でも安心して学べる体制が整っていると感じました。


学んで感じたこと・今後への活かし方

PLC制御は、リレー制御を理解していることでスムーズに入れる内容ですが、完全初心者には少し難しく感じるかもしれません。
それでも、これからの電気設備業界ではPLCを理解している人材は非常に重宝されるため、学ぶ価値は十分にあります。

実際の仕事では、機械の動作確認やトラブル対応などでPLCの知識が必要になることも多く、知っているかどうかで対応力に差が出ます。
たとえ深く理解できなかったとしても、「基礎を知っている」こと自体が大きな強みになります。

今回の実習を通じて、「自動化の仕組み」「電気回路とソフト制御の関係」「論理思考の重要性」を肌で感じることができました。
これをきっかけに、今後の就職活動や実務にも活かしていきたいと思います。


まとめ

  • シーケンス制御は実配線、PLC制御はソフト上での論理回路
  • A接点・B接点、LD・AND命令などの基本を理解することが重要
  • ベルトコンベア制御などの応用実習で実践力を高める
  • 実習環境は整っており、初心者でも安心して学べる
  • 今後の就職活動や現場作業で必ず役立つ知識

職業訓練のPLC実習は、電気の基礎を一歩進めて「自動化の入り口」を学ぶ貴重な経験です。
初めての人にも理解しやすく、電気や制御の世界に興味がある方には特におすすめの内容です。

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